物語 1 / 3

別れて半年が過ぎた秋の夜、机のスマホが短く震えた。かつて一緒に暮らした相手からのメッセージ。届いた言葉を前に、何を迷い、どう動くかをたどる物語。

十一時の通知

夜の十一時過ぎ、歯を磨いて部屋に戻ると、暗がりの中で机のスマホが短く震えて白く光った。ロック画面に表示されたのは、半年前に部屋を出て行った相手の名前。「久しぶり。まだあのマグカップ使ってる?」という一行だけが、静かな部屋にぽつんと浮かび上がる。台所の水切りかごには、二人で選んだ青いマグカップが、洗われたまま伏せてあった。